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■裁判は証拠がすべて

社会一般の方と法律職はものの見方がひっくり返っていることがあります。その最もわかりやすい例は裁判です。

ヤマダさんにひっぱたかれたとスズキさんが訴えたという事例があったとします。スズキさんはヤマダさんに平手でひっぱたかれたと主張しますが、ヤマダさんの弁護士は、蚊がついていたから軽く手で抑えただけと主張します。

これだけではどっちが正しいのかわかりません。このとき、たとえばヤマダさんがスズキさんにお金を貸していた証拠が出てきたとします。また、ヤマダさんがたびたびスズキさんの胸ぐらをつかんで、お金を返せとすごんでいたという証言もあったとします。こうなると状況は少し変わります。

人のものの見方は千差万別です。受け取り方も全然違います。自動車を運転していて、歩行者を跳ねた人というと聞こえは悪いです。でも、当たり屋がぶつかってきたといえば事態は全然違います。でも、実は当たり屋ではなくて酔っ払ったサラリーマンだったかもしれません。よろよろ車に近づいてしまったのが、つい飲み過ぎた善良なサラリーマンなら許されても、お調子に乗った大学生だとまた印象は変わるかもしれません。失恋したてで自殺しかけた女性でも、また印象は変わるかもしれません。

こういう無限の切り口の中で、唯一の決め手となるものは、証拠です。この証拠とは多くの場合、書類となります。

■ヤミ金業者は証拠を作る

ヤミ金業者の中には白紙委任状を作らせる者もいます。白紙でなくても、借用書に元金も金利も一緒くたにするのは当たり前です。

こういうとき、ヤミ金業者の中には「書面の上だけだから」というものがいます。しかしこの言葉は恐ろしいものです。書面の上だから、といいますが、書面こそがいざというときには絶対の証拠になるのです。

図面の上だから、書面の上だから、形だけだからと述べてくるヤミ金の言葉につい「そうなのかな」と乗ってしまうと、後日、いくら借金を負わせられても文句はいえない事態になります。会社を乗っ取られたり、土地や家屋を奪われてしまいます。

なぜなら、公的機関に登記された書類こそが、お金や法人や土地の証明だからです。

図面の上、書面の上とは、すなわち登記した書類を書き換えます。つまり、借金を負わせます。土地をもらいますといっているのと同じことなのです。

ヤミ金業者が書類を求めてきた場合には、その中身を徹底して精査すべきです。それを怠ってしまうと、取り返しのつかない事態を招きかねません。