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■特定調停で費用は浮くの?


任意整理の費用を司法書士に払うのがもったいないとの理由から、借金の整理を自分で行おうとする債務者もいます。また、過払い金などを含め、特定調停と呼ばれる債務者自身が行う債務整理をした体験談もネット内には溢れています。

しかし特定調停はけっしておすすめできるものではありません。

というのは、社会はそもそもスムーズに動くものではないからです。これは視点をひっくり返して考えてみればすぐにわかることです。踏み倒しをしたことがある人、もしくは債務超過に陥った人は厳密にいえば、サラ金との間に交わしたルールを破ったことになります。

では、そういう人に対して、たとえ法人であるからといってサラ金会社が厳密にルールを順守するでしょうか。ここに債務者が陥りがちな誤解の根っこが存在しているのです。

債務者一人ひとりに思いや考えがあるように、サラ金会社に勤める人たちにも思いや考えがあります。彼らだって誰もいなければ赤信号を横断するでしょうし、また車を運転すれば、時速40キロ制限の道路を50キロで走るスピード違反だってしていることでしょう。

債務者の人から見てサラ金は法人だからルールを厳守していると思うのは間違いです。彼らは見えていないところで平気で法律違反を犯している可能性だって十二分にあるのです。


■特定調停とサラ金会社のルール違反

これを特定調停にあてはめて考えてみましょう。サラ金会社に特定調停を行う場合、取引履歴の開示請求を行う必要があります。しかし、債務者がサラ金会社に開示請求を求めてもなしのつぶて、まったくの音沙汰なしだったという話は年がら年中耳にします。

サラ金会社にしてみれば「なんで借金を減らす交渉のために、自分の会社が動かないといけないのだ」という気持ちであるはずです。その結果、債務者が何を言おうが取引履歴を出さないサラ金もたくさん存在しています。

もちろんこれは法律違反です。でも、法律を執行するためには弁護士や司法書士が動くか、もしくは債務者自身が提訴するしか道はありません。借金の整理をするために、借金の内容をサラ金会社に開示させる。その裁判費用を債務者が支払う。これでは本末転倒です。また提訴のように複雑な手続きを踏み、しかも裁判にかかるたくさんのお金を債務者が払えるはずがありません。サラ金会社はここまで考えて法律違反をすることもあるのです。

また、もしサラ金会社が取引履歴の開示をしてきたとしても、特定調停を行うにあたり、相手は弁護士を立てて来ることはまず間違いありません。しかも調停委員は完璧に中立な存在。先に述べたように泣き落としをしても、彼らはほとんど聞く耳を持ちません。それどころか、もしも「払えないのだからしょうがない」などと居直りを決めてしまえば、調停員の心象は甚だしく悪くなり、特定調停はメリットどころかデメリットしか生じない結果になりかねないのです。


■力関係をはっきり見定めることが肝心

最初に述べたように、サラ金から借入をすることはアリ地獄に落ちるようなものです。債務者の行動は、居留守であれ、踏み倒しであれ、はたまた他のサラ金からの借入であれ、最終的に行き着く先は差し押さえになってしまいます。もしそこでさらにヤミ金などから借入をすれば、今度は犯罪に巻き込まれる可能性も十二分に出てきます。

サラ金への返済で困ったとき、債務者が思いつくありとあらゆるパターンは全部、差し押さえにつながる。そう考えても問題はありません。

このようにサラ金被害は「一見自由に見えるけれど、実は完璧な一方通行」というのが本当のところなのです。だからこそ国は唯一、間違いのない借金問題の解決方法として債務整理を許可しているのです。